2014年9月8日月曜日

【キッズ柔術探訪】第一回東京都北区王子・グラスコ柔術アカデミー

グラスコ柔術アカデミーキッズクラス訪問

世界トップクラス達は、柔術を幼少期から習っている事が実際多い印象があります。日本柔術界もより発展させていくためには、キッズ選手の育成は避けられません。そこで日本の柔術アカデミーの現状はどうなっているのか? どういう指導法が行われているのか? という連載を今回から開始します。第一回はJBJJFの審判部長も務める桑原幸一氏が代表を務める東京北区王子「グラスコ柔術アカデミー」にお邪魔しました。同ジムのキッズ柔術クラスは水曜日・土曜日の17~18時の週2回しか行われていません。練習量は少ないなりませんか? の質問に桑原代表は「ウチは試合を目的にしていない」と答えました。その真意とは? 後半インタビューでご確認ください。
王子駅から徒歩5分、ビルの2階にグラスコ柔術アカデミーはあります。近くに学校も多い。

授業前にキッズの瞳が赤いことに気がついた桑原先生。「目はしっかり見えるか、痛くないか、何処でなったか覚えている?」など詳しくヒアリングしていました。

準備運動・補強は先生も一緒に行うことも。「ゆっくりでいいから、的確に」

この日の授業は「クロスニーパス」。他にバリエーションなどは教えず、この一つの技を徹底的に教えこむスタイル。

適度に休憩を取りながら指導。先生も、生徒も楽しそうに柔術しています。

桑原幸一代表インタビュー

――グラスコ柔術アカデミーに通うキッズは何人程いるのでしょうか?
桑原 小学1年生~中学2年生まで、約20名程通っています。

――今日は「クロスニーパス」の“技一つ”だけを練習し、他は遊び、体力アップでした。技一つの理由は?
桑原 試合出場を控えたキッズ達ならば、満遍なく教える必要があるかと思います。でも私の道場では一つのテクニックをしっかり理解してもらいたいので、2~3ヶ月に一度のペースで新しいテクニックを教えています。例えば今年なら三角絞め、押さえ込み、背負投、そして現在はクロスニーパス。この理由としましては、審判部長として長年キッズ大会を観ながら、さらに自身の道場での指導を経て、ウチでは“試合を目的としなくてもいいのでは?”という考えになってきたからです。

――試合を目的にしていない理由、とは?
桑原 僕はグラスコ柔術アカデミーのマットの中で学ぶ授業を子供達にしっかり伝えていきたいと考えています。この場で練習する事で様々な事を学んでほしい。そう考えています。さらに私は小学校6年間のなかで学校行事や親御さんとのふれあい、他のスポーツの経験など様々な経験をしてほしいと考えています。そんな中、週二回しかないキッズクラスの練習で、他の道場に行って出稽古や、試合に対しての準備などを考えると時間も練習日も足りないかなと。なのでキッズクラス私の道場で柔術を終えてもいい。一つの経験になればと考えています。試合出場に関しては強制ではなく、出たい子がいればそれなりの指導をします。しかし出たくない子供も当然います。大人は自分の意思で出る出ないは決められる。でも子供の中にはなかなか決められない、分からない子供もいる。なので子供本人や保護者が試合に出たいという意欲が高ければ、試合に出てもいいし、もっと高みを望むならば高みを目指して良いと思います。しかし今当道場にはキッズに対する試合への練習環境はないのでどうしても高いレベルでの試合の練習がしたければ、他の道場の移籍も勧めます。柔術の学び方、楽しみ方は無限大にあります。そこを指導者がしっかりキッズたちの心を読み取ってあげる事が重要だと考えております。だからウチは週2回、きっちり1時間のキッズクラスの練習を最重要としております。

――週2、は他の盛んなジムに比べれば、確かに少ないです。
桑原 本当は週4日ぐらいはキッズ柔術授業をやりたい気持ちはありますが、大人とのクラスとの兼ね合いや私しか指導員がいない事を考えると週2回が限界ですね。その代わりといっては何ですが、子供達には空いている時間は様々なものに触れて感性を磨いてほしいと思っています。野球サッカー、水泳、読書、絵画教室、お父さんの仕事見学でも、友達と遊ぶのでも良い。何でもよいと思うのです。ウチの生徒は掛け持ちが多いです。しかし中学に上がっても柔術を辞めずに続けてくれる子も
多いのはそのあたりもあるかもしれませんね。

――なるほど。では、キッズたちの帯制度はどうなっているのでしょうか?
桑原 試験、来館数でライン昇格、帯昇格をする制度にしています。これは大人も一緒で、仕事や過程の事情により試合に出れない方も大勢います。その方たちが柔術のスキルがあるのに帯昇格しないのは如何なものか。例えば白帯で何回授業に出て一つラインが巻かれる。色帯では何回でライン、そしてラインが4本になった時に、帯テストをやる。8月にはそれで青帯3人が昇格しました。

――帯テストの内容はどういうものですか?
子供のテストはテクニックだけ、僕が指定した技、対処法ができるのかを見せてもらいます。大人に関しては体力テスト、テクニックならばクローズドガードから割るのをみせてもらったり。あとスパーリングを基準にしていますね。

――子供の習い事、例えば水泳には“級”があったりしますが、それに近い、と。
桑原 そうですね、格闘技ではありますが習い事でもあるので、他のスポーツのような級のようなものかもしれませんね。

――子供の指導で気をつけている点はありますか?
桑原 何よりクラス中の体調管理ですね。少年柔道や、水泳の指導経験などから、どんなに強い子も上手い子でも、やはり体調を崩している時には良い練習ができません。また道場に来て想定外の事が起こり、体調が悪いなか、親に促されて道場にきた。この想定外の事由がきっかけでが柔術がイヤになり、道場に来なくなる事もある。子供は追い込まれた時に、とにかく恥ずかしさ、または恐怖が先にくる。そういう時に、周りの大人がしっかり観てあげて、「大丈夫だよ」と言ってあげるかが大事だと思っています。そういう所から信頼関係が生まれるのではないかな、と。1時間しっかりみて、しっかり親御さんのもとに返すことが、子供たちを預かっているものとしての、一番の責任ではないか、と。ちなみに私は柔道整復師の免許を持っているので、外傷や体調不良などを通常の指導者よりしっかり診る事ができると思っているので、安心してお子さんを預けてください。

――なるほど、有難うございました!


クロスニーパスのポジションスパーは、先生と。桑原先生は両腕を使わず、「先生に勝ったら黒帯だ!」と冗談を交えつつ。

子供の集中力は1時間続かない場合もある。遊びも交えて。最後には体力補強も兼ねて? 鬼ごっこ。帯を踏んだら罰ゲームあり。

子供たちはとにかく挨拶が元気! 桑原先生の指導が行き届いている印象です。

鬼ごっこで帯を踏んだのは、指導員の2人! しっかり罰ゲームのプッシュアップをしていました。

もちろん試合は貴重な経験として自身を成長させてくれるが、キッズにも強制するのものではない。柔術の楽しみ方は無限大にある。取材を通し、そう思わせてくれました。

■グラスコ柔術アカデミー
キッズクラスは水曜日・土曜日の17~18時から