『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)、『七帝柔道記』(角川書店)の大ヒットで改めて注目される高専柔道。柔術家ならばご存知とは思いますが、毎年一度、名古屋大学柔道場にて名大柔道部とブラジリアン柔術チームの七帝ルールによる対抗戦が行われています。柔術チームの主将はご存知・杉江アマゾン大輔選手! 柔術強豪メンバーが集結していますが、一昨年は五人残し、昨年は四人残しで敗退中……。そして今年は2月16日に行われ、柔術家チームはまた素晴らしい面々で挑みました。
■柔術チーム
黒帯:杉江アマゾン大輔、小室宏二、中村大輔、中村勇太、高本裕和、梅村寛、細川顕、小澤幸康
茶帯:関根秀樹、神田崇広
紫帯:嶋田裕太
他、総合で活躍する新美選手など、恐ろしい面々です。日本の柔術界のオールスター的なメンバーになっています。今回は試合に参加したGRABAKA所属の神田選手に試合レポートして頂きました。
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皆さんこんにちは、GRABAKA所属の神田崇広です。今回は初めて“七帝ルール”で試合をさせて頂きました。まず柔術とのルールの違いを挙げていきます。
・投げの一本あり(ただし寝技の攻防を見たいので辛めの基準とのこと)
・抑え込みは30秒で一本
・引き込みの際は帯より上を二ヶ所持ってから
・下の選手がリフトされ両肩が浮いたら待てになる(関節や締めが入っていても)
・バックについていても立たれたら待てになる
・関節は肘のみ
・外掛けはOK
この違い、そして“引き分け狙う”選手をいかに崩して一本を奪うか、ココが柔術家チームのポイントでした。以下、試合結果です!
■第一試合
中村勇太○-×小池 抑え込み
■第二試合
中村勇太△-△鷹合
立ちでの攻防が続く 中村が下から十字をみせるもリフトされ待てに
■第三試合
河村△-△武馬
■第四試合
嶋田△-△渡辺
体格の上回る渡辺に対し、タックルや投げ、下からのスイープでポジションを取る嶋田 しかし亀を崩せず引き分け
■第五試合
鈴木△-△及川
バックを奪うも極め切れず
■第六試合
小室△-△杉山
昨年全日本青帯無差別級優勝者でもある杉山 体格で大きく上回る杉山に対し、終始立ちの攻防
■第七試合
中村大輔○-×柴山
開始早々引き込みからバックを奪い4の字ロック 締めを狙うが極め切れず 立ちから再開し再びバックにつき、裏十字を極めた
■第八試合
中村大輔△-△渥美
中村が引き込みバックをとるも極め切れず引き分け
■第九試合
杉江○-×本田
下から十字を作り、めくってクラッチを切り十字を極めた
■第十試合
杉江×-○添田
潜った、杉江に対し添田がパスガードをして横四方固めで抑え込みで勝利
■第十一試合
高本△-△添田
ほとんどが立ちの攻防 終盤に高本が飛び付き十字を極めかけるも、リフトされ待てに
■第12試合
三輪×-○加藤
柔術茶帯でもある重量級の加藤
柔術チームのムードメーカーである三輪に対し抑え込み一本
■第13試合
山口×-○加藤
同じくムードメーカーである山口 足をかけてテイクダウンを取るも返され抑え込み一本で敗退
■第14試合
山脇×-○加藤
山脇が下からスパイラル、50/50をしかけるも、潰され抑え込み一本
■第15試合
梅村×-○加藤
試合終了と同時に抑え込みがかかり、そのまま一本
■第16試合
細川△-△加藤
細川が下からスイープし、何度か抑え込むも強力なブリッジで抑え込みきれず 残り2秒というシーンもあった
■第17試合
新美△-△鈴木
前半は立ちの攻防 後半は新美が下からヒップスローなどを狙うが、スイープできずに終了
■第18試合
服部△-△山口
■第19試合
神田×-○小塚
体格で上回る小塚に対し、引き込みスイープをきめバックをとるが亀を崩せず パスをして抑え込みにいった所を鉄砲で返されそのまま抑え込まれ一本負け
■第20試合
タツル×-○小塚
立ちの攻防が続くも、小塚が抑え込み一本
■第21試合
李○-小塚×
立ちの攻防の流れから最後は李が抑え込み一本
■第22試合
李×-○片浦
立ちの攻防 最後は片浦が投げで一本
■第23試合
小澤△-△片浦
小澤が片浦を場外際で投げ片浦が軽い脳震盪を起こしたり、君て争い中のアクシデントで鼻血を出したりの大激戦
■第24試合
関根○-×大橋
関根が亀で守る大橋のバックを取りそのまま裏十字を極めて一本
■第25試合
関根△-△村松
立ち、寝技共に圧倒するも守りを崩せず引き分け
三人残しで、今年も名大の勝利という結果になりました! 強豪柔術家が引き分けに持ち込まれ、ポイントゲッターで手堅く勝つ、七帝ルールの難しさが出て試合でした。