昨日の続きで、2013全日本選手権を単体のアカデミーながら団体優勝を成し遂げた埼玉県川越市『DRAGON'S DEN』澤田真琴代表のインタビューその2です。スパーリング10分が基本の同ジムの強さの秘密について迫ります!
--青帯に昇帯間もない選手も実績を残している印象があります。皆さんの練習量はかなり多いのでしょうか?
澤田真琴代表(以下、澤田) 毎日くる人もいますが、大体が週3~4回が平均です。ですが、週1回でも結果を残す人もいま す。 練習は量も必要ですが、やっぱり効率と集中力が一番重要。 足りないなと思う時は背中を押すことはありますが、強度は個々に任せてます。毎日朝(午前11~)と夜に練習の出来る環境なので、皆さんが来やすいのでしょう。自分が無理なときでも誰かしら道場を開けてもらっているのが大きいと思います。
--“選手全員黒帯に”、という理由でスパーリング時間は10分と聞きました。白帯選手がいきな り10分は相当大変だと思いますし、精神的に折れたりしないのでしょうか?
澤田 10分のスパーリングを大変と思うのは、他道場で柔術していた人、または他格闘技で5分のスパーリングを経験してきた人だけだと思います。 “10分が長いということは、その分だけチャンスが長い間ある”ということと考えて貰っています。
--なるほど。
澤田 例えば1本のスパーリングで、「スイープを1回決め てください」と言ったとします。1回のスイープを決めるのに、黒帯時間は10分あるのに白帯は5分で決めなければいけません。つまり1つのスイープを完成させるために、白帯はより短い時間で準備しなければなりません。なので、昇帯するにつれて、楽になると説明しています。 またフィジカルやテクニックで劣る日本人が外国人選手に勝つために必要なのは、気持ちの強さだと思います。気持ちの強さを養うために、それを出すために必要なのが“スタミナで折れない心”です。 いくらフィジカルやテクニックが強くても、スタミナと折れない心がなければ自分より強い人には勝てないと思いま す。 うちの道場は柔術を単に楽しむというよりは、試 合に向けて一生懸命頑張って練習して勝って楽 しむ、負けて悔しがるというのが全体方針で す。なので10分程度のスパーリングで気持ちが折れる人はほとんどいません。
--例えば10分間スパーリングで初心者の白帯×格上帯の選手が組んだ場合、練習にならない、 と避けることはありませんか?
澤田 格上帯が白帯と組んで、練習にならないという事がありませんし、そういう人のいない環境を作ってきました。 正直、白帯だから練習にならない……って何様のつもりだ!と思います。 茶帯だから、黒帯だから偉くなった気でいる選手がいますが、そういうのは好きじゃないですし、ウチの道場にはいて欲しくないです。練習相手が例え弱くても、女子選手でも、やり方次第で幾らでも学ぶことはあります。白帯とは練習にならない……とか言う人間が、自分自身の工夫が欠如しているからであり、自分の無能さを人のせいにしているだけです。 ですが、色帯の人たちには相手のレベルに合わせたスパーリングをするようには言っています。 スパーリングでは自分自身をコントロールし、誰が相手でも圧倒してもされてもいけない。「常にアドバンテージ一つ差くらいで勝つスパーリングが出来るようにしろ」と言ってますし、なってもらいたいと思っています。
--女子選手も多いですが、女子を指導するときに気をつけている点はありますか?
澤田 特にありません。女子だから特別扱いしたら、むしろ拒否されると思います。男女関係なく駄目 なところは駄目とはっきり言うようにしてます。
--今年の道場内ランキングは女子の竹下栞選手が航空券を獲得したそうですが、世界戦で澤田さんはどのようなアドバイスをなさいますか?
澤田 外国人と試合するとき、一番注意せねばならないのは“際の巧さ、ズルさ”。 彼らは勝つためには死に物狂いで何でもしてくる。こちらがいい人になる必要はないということです。 あと自分もそうだったんですが、世界柔術の雰囲気は異常です。 普段は緊張しない自分でさえ、正直ビビりました。 竹下栞は今年も出場したのですが、会場の雰囲気に飲まれ初戦敗退でした。 緊張するなといっても仕方ないので、こればかりは慣れるしかないと思います。 また来年の竹下栞に、今から楽しみです。
以上
小柄ながら得意の柔道でテイクダウン、絞めを得意とする竹下栞選手。
■埼玉県川越市『DRAGON'S DEN』
http://www.dragonsden.jp